こんにちは 長谷川ゆきです。
フォーレの事を書きますと言いながら、昨日もオレリアンの紹介。なってなくてすみません。
生涯に渡って歌曲を書き続けたフォーレの、書法の変遷を見る事ができるようなプログラムです。有名な「夢の後に」他、全8曲を演奏します。
途中、こんな怖い歌も・・
あなたは僕に黙れという
どこか遠くに、永久に行ってしまえという
そしてひとりでいろという
僕の愛した人のことを忘れてしまえと!
(梅丘歌曲会館様のサイトより引用)
ところが! オレリアン「奥さんが旦那を怖がらせてる、可笑しいです。」というのです。・・深刻ではなく、一時的な、お芝居のような滑稽な情景に見えて来ました。
ガブリエル・フォーレの写真(出典: https://ja.wikipedia.org)
チェロソナタの2番はとても斬新な作品です。分類しにくく、誰に継承された訳でもない斬新さは、すごく面白いものであっても、音楽史などで触れられる事が少なくなってしまうものだなあと思います。特に終楽章は独創的で、妖精が飛び交うかのようです。
師のサン=サーンスが、フォーレの後期の音楽には付いて行けないと言っていたのもわからなくはない・・ですが、保守的だったと言われるサン=サーンスもわりと、どこか1箇所「このパッセージの和音の移り変わり、変じゃない?(無理矢理感)」というところがあったりします。
大抵、旋律がのっかるとおかしくなく聞こえるので「やるなぁ」とも思うのですが。
練習していると、フランスで和声科というところで勉強した時の事を思い出します。
汎用教科書というものが存在しなくて、「かろうじて割と使われる事もある」という本をやっと1冊教えてもらい、ある和音進行の説明を見てみたら、「この規則の例外」として、何の説明もなく突拍子もない例が9個羅列してあった(ワーグナー風のものなど)、という事がありました。
先生にもよりますが「機能和声に取り憑かれる」として、わざとあまり規則を教えなかったりもします。
リヨン国立高等音楽院の作曲書法科(エクリチュール科)入試では、全受験生の書いたものを弦楽四重奏やヴァイオリンとピアノのデュオで演奏してくれました。
受験生の作品の出来はかなり差がはっきり開いており、それほど複雑な譜面でもなく審査の先生方も当然頭の中でほぼ完璧に音は鳴っているであろうにも関わらず、どこか自分たちの感性の外に置き忘れがないかと、ほとんどめちゃくちゃとしか思えない作品をも丁寧に何度も音にして確認していたのが印象的でした。指定テンポと少しでも違うと指定通りに弾き直させたりもしていました。
また、その時ヴァイオリニストが豊かな音色パレットを持っていて、よほどおかしなものでない限りどんな和音でも許容される!と感心してしまったりもしました。
フォーレの独創的書法もこんな感じに守られて開花したのかなあと思いを馳せました。
日曜日はあと20席弱となりました。ご予約なしでもお入り頂けますが、ご来場人数に合わせて椅子をゆったり(くっつけずに)並べるのもいいなと思っていますので、当日でも構いませんのでできれば連絡の上お越し下さい。
ご来場お待ちしております。
■公演詳細:
「パリオペラ座首席オレリアン・サブレ&長谷川ゆき チェロで聴くフランス歌曲とソナタ」
2018年7月8日(日)15:00開演(30分前開場)
KMアートホール(渋谷区幡ヶ谷1丁目23−20)
都営新宿線直通「幡ヶ谷」、京王線「笹塚」から各徒歩5分、
メトロ千代田線・小田急線「代々木上原」から徒歩12分